【インタビュー】名古屋市民芸術祭2021参加公演「パイプオルガン、ソプラノ、舞踊による祈りの時 Veni, Sancte Spiritus ~ 来たれ、聖霊よ ~」

   名古屋市民芸術祭2021 参加

パイプオルガン、ソプラノ、舞踊による祈りの時

 Veni, Sancte Spiritus ~ 来たれ、聖霊よ ~


 2021年11月3日(水・祝)13:30開演(13:00開場)

 愛知県芸術劇場コンサートホール 全自由席 3,000円


マネージメント:二宮音楽事務所

 公演情報詳細はこちら



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名古屋を代表するオルガニストの吉田文。ドイツと日本で盛んな演奏活動を続ける彼女は、2011年より愛知県芸術劇場コンサートホールにて「オルガンブランチコンサート」を開始。年3〜4回の気軽かつ本格的な内容で、パイプオルガンを多くのクラシック音楽ファンにとって身近なものにして下さいました。この企画は今年で10周年を迎えています。


その吉田を中心に、名古屋市民芸術祭2021参加公演として「祈り、聖霊」をテーマとしたコンサートが11月3日(水・祝)の午後に開催されます。

コロナ禍において祈ることしかできない日々を私たちは経験し、しかし、聖霊の、世界を新しく改革していく力によって未来を創造したいという想いをこのコンサートに込めています。 


出演する3名の方々からお話を伺いました。



【加藤佳代子(ソプラノ)】

私はプログラムの前半に出演します。


グレゴリオ聖歌から「来たれ、聖霊よ」、アカペラ独唱です。

文さんがそれに続いて、J.S.バッハが同じ内容の賛美歌をモチーフに作曲した「来たれ、聖霊よ」による幻想曲を演奏します。

続くグリニーの「来たれ、創造主である聖霊よ」も同じくグレゴリオ聖歌のこの旋律を定旋律に作曲されたオルガン曲で、全部で5番まであるこの曲を私のアカペラ独唱と交互に演奏します。

文さんもご紹介下さっていますが、この演奏スタイルはかつて典礼で使われていたもので、日本のコンサートで行なわれることは皆無なのでとても貴重だと思います。


続いて、ビンゲンの聖ヒルデガルド作曲の聖歌を歌います。ビンゲンは地名で、聖ヒルデガルドはドイツの優れた知識と能力を持った修道女です。作曲されたのはバッハやグリニーより更に古い時代で、日本では平安時代の末頃。そしてこの旋律をモチーフにTh. マイヤー=フィービッヒさんが作曲した「聖ヒルデガルドの続唱によるトッカータ」がオルガンソロで演奏されます。この曲は今回が世界初演になります。


今回、私が歌う曲の楽譜には、リズムも拍子もテンポ設定も強弱記号も書かれていません。修道会で実際に演奏しながら脈々と伝承されてきため楽譜に奏法を記す必要がなかったからですが、単旋律を聖歌隊など複数の歌い手で歌う場合が多い中、近年ではコンサートなどでも独唱での演奏が増えています。

今回の演奏会テーマは祈り、聖霊。目に見えない何かが確かにそこに存在する、そんなひとときになるのではないでしょうか。

オルガン、歌、踊りによる舞台ですが、「言葉」を持っているのは歌だけなので、今回のプログラムにある聖歌…聖霊への賛美を、歌詞は全てラテン語ですが、言葉の力、音楽の力を私は歌で皆様にお伝えしたいです。



【倉知可英(舞踊)】

私はプログラム前半の最初に加藤佳代子さんの「来たれ、聖霊よ」グレゴリオ聖歌と共に登場、そして前半最後のTh.マイヤー=フィービッヒさん作曲「聖ヒルデガルドの続唱によるトッカータ」で踊ります。プログラム後半ではデメッシュー作曲「聖霊の7つの瞑想曲」、「テ・デウム」で、私と私の生徒たち5人とで群舞として登場します。


今回の舞台は、まず文さんの考えられた選曲、音楽の世界が先にあって、そのイメージから私たちはどう踊るかを考えています。

「聖霊」という言葉を聞いた時に、私はそこから「息、息吹、呼吸」が浮かびました。私自身はキリスト教信者ではありませんが、踊る者にとっても呼吸はとても大事なもので…そこに共通するものを私は感じています。


コロナ禍の中で、誰もが祈る気持ちを持っていらっしゃると思います。元の生活が戻ってほしいと思う願いを踊りでも表現したい…とても抽象的なことですが、踊りを通して皆様にもイマジネーションの世界を体感していただきたいです。

私にとって、パイプオルガンの音は「光」のイメージで捉えています。体の底にまで突き刺さって音楽が響いてくる…耳だけではなく身体中に、心に理由なく響く。この感覚は今回ご一緒させていただく私のダンサーの生徒たちにも体感してもらいたいです。


クラシックのコンサート、と言うと「目を閉じてお聴きになる」お客様も多くいらっしゃると思いますが、今回のステージはダンスという視覚的な要素が加わります。舞台に動くものがあって、それをご覧になりながら演奏を聴くことで、いつもとは違った音楽の受け止め方も感じていただけるのではと思います。


デメッシューのステージでは舞台に仕掛けも用意しています。普段のクラシックコンサートではなかなか見られない演出にもご期待下さい。


この曲はとても難しいですが、それぞれタイトルが付いていますので、そこからのイメージによる私なりの解釈で振りを考えています。そして更には、今回の曲・音楽を体で表現したい、ステージ上でのその瞬間の音そのものが視覚で目にも見えるような…そんな舞台を創りたいです。



【吉田 文(オルガン)】

私たち人類が「祈り」を表現する時に、いつの時代にもどの民族にも「踊り」と「歌」があったと思います。今回の、祈りをテーマにしたこの企画を私はこのコラボレーションでつくりたいと考えました。 


コロナ禍で私たちは長く何も出来ない日々を過ごしました。これから先、どうなっていくんだろうという不安は誰にもあると思いますが、自分の未来は自分で創るしかありません。

私たち人間は、多くの心動かす出来事から多面的な感情や思考を経験します。それは自分個人だけではなく接する相手や社会、自然や宇宙と共感できる多様性を成長させる糧となります。音楽が心に響くように、人と人が響きあうことができれば、やさしさや思いやりが周りの方たちにも伝わり、大きな平穏、平和に繋がっていく…そこにスポットを当てたいです。

 

また、私たちの生命は、呼吸することで外の世界と繋がっています。呼吸と同時に、思いや言葉、音楽の響きという見えないものとも周りと繋がり、生かされています。今、私たちが生き、生かされているこの一瞬ごとの呼吸や息吹き、そして思考が未来を創造する力となります。


私の音楽活動の土壌であるキリスト教では、三位一体の神の一つの位である「聖霊」が息吹、水、風、炎などで象徴され、生命を与え、革新を進める力とされています。

音楽に込められた祈りを加藤佳代子さんの聖歌と倉知可英さんの踊りとともに解き放ち、会場にいらっしゃる皆様おひとりおひとりの想いとともに、次の瞬間と、瞬間と瞬間によって築かれるこれからの時を力強く創造できるものとして感じて頂きたい、それが私が一音楽家として今できることなのかと考えています。


皆様、是非お越し下さいませ。


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インタビュー・文責:二宮 孝(二宮音楽事務所代表)

コンサートのお問い合わせ・ご予約は 052-505-0151


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