【インタビュー】愛知教育大学混声合唱団 第50回記念定期演奏会


2020229日(土)、愛知県芸術劇場コンサートホールにて愛知教育大学混声合唱団さんの演奏会が開催されます。

今回は「第50回」という大きな大きな節目を迎えられ、OBOG様も一緒に出演される合同ステージでは同団体の顧問であり作曲家でいらっしゃる橋本剛氏による委嘱新作の初演もプログラムされています。
団長の島田宗幸さん、団内正指揮者の磯部里奈さんにお話を伺いました。

ー いよいよ演奏会まで半月に迫りました。まずは今のお気持ちをお聞かせいただけますか?

【島田】「50周年」というこの節目は本当に大きく、準備の仕事量も例年より多く大変ですが、ここまで練習を積み重ねてきた中での達成感は今まで以上です。特に今回はOB・OG様も50年の歴史の中から集まって下さり、人生の先輩方からのアドバイスはとてもありがたく感じています。

【磯部】私は、中学1年生の時に始めた合唱部がその年に創団という経験をしていて、最初の3年がすごく大変でした。たとえばコンクールに対しても、上を目指したいメンバーとそれより遊びを優先したいメンバーと分かれてしまいなかなかまとまらず…。その合唱部が今年で9年目を迎えて安定してきたそうなんですが、そういう体験をしてきたから50年という歴史を持つこの愛教大混声合唱団という場所を幸せに感じます。
合唱でひととひとが繋がる、という私自身の原点を思い出す気持ちがあります。

ー それではプログラムについて聞かせて下さい。まず第1、第2ステージについて。

【島田】第1ステージの覚和歌子の詩による混声合唱曲集「等圧線」は、第4曲目の「リフレイン」という曲が「繰り返す四季」というメッセージで、毎年演奏会を続けている私たちに、そして今回の演奏会にふさわしいのではと感じています。
第2ステージの混声合唱組曲「終わりのない歌」は、詩が短編小説のようでストーリー性が強く気持ちを込めて歌える曲集で、僕が大学生になっても合唱を続けたいと思ったきっかけの曲でもあります。今回どうしてもこの曲を歌いたいと強くリクエストしました。

【磯部】詩は「ひとつの恋の物語」なのですが、男心がとても描かれた内容なので元々は男声合唱のために作曲され、作曲家の上田真樹先生は混声合唱に編曲することをずっと拒んでいらっしゃったそうです。この混声合唱版は2017年に初演されていますが、先生のこだわりで「僕」という言葉は絶対に女性には歌わせないようになっています。現在、私たちの団に男性は少ないですが、この曲の世界観をどんどん主張、歌えるようになってきました。とても成長を感じられています。

【島田】初めてこの曲を聴くという方も楽しめる1曲だと思います。

ー 続いて第3ステージについて。愛教大混声合唱団様は団員の皆さんで台本を書き、役者も団員が務める演劇と合唱による「演出ステージ」を毎年用意されていらっしゃいますが、OBOG様が共演される記念演奏会の回はありませんでした。
今回はされるのですね?

【磯部】内容をここで話しすぎるとネタバレになってしまうので…笑

【島田】このステージで「歩んできた50年を振り返る」がテーマです。ご年配の方々に懐かしい曲なども用意して「あの曲があったお陰で今の自分がある」、「あの頃はやんちゃだったなぁ」などなど、そしてクスッと笑える小ネタと合わせて、合唱に初めて触れるような方にも楽しんでいただけるステージを目指して取り組んでいます。

ー それでは第4、最終ステージについて。顧問の先生でもあり作曲家 橋本剛先生による、混声合唱とピアノのための「そこにねこのいる暮し」、今回が初演ですね。

【島田】委嘱のきっかけは、顧問の友森美文先生と50周年の節目に何をしたら良いかとお話ししていた時に「せっかくこの大学には面白い・いい曲を書いて下さる先生がいるのだから」とおっしゃられたことでした。橋本先生もこの合唱団の顧問でいらっしゃるので、これまでの50年という歴史の中で「今の愛教大混声の全て」と言えるこの曲を先輩方と一緒に歌えることはとても幸せです。
それから「猫」についてを歌った合唱曲は少ないと思います。人間じゃない視線、世界観があって…

【磯部】そして橋本先生の世界観があって…! 曲は正直、私たち大学生がおいそれと手を出せるレヴェルではないです!! 楽譜に書いてある以上のことを要求される曲で…他の作曲家では書かないフレーズ、表現法に最初の頃は悲鳴を上げていました。
ですが先生方のご指導やOB・OGの先輩方と練習を進めていく中で「こういうことを要求されてたんだ…!」ということが見えてきて、分かった途端に「これは凄い曲集だ」と感じました。今はこの曲をOB・OGの先輩方と一緒に120人で表現できることに喜びを感じています。

【島田】苦労の後に見えた世界は壮大なスケールでした。

ー とても楽しみです。
ところで皆さんは、去年の7月に全国で活躍中のインストゥルメンタル・ユニット「TSUKEMEN」さんと「時を超える絆」を共演、という素晴らしい機会がありましたね。

【島田】曲名通り、詞の内容通り「時を超える絆」を感じています。僕がこの団に入団した奇跡、大先輩の方々と50年の時を経て出会えた奇跡。あの曲を歌って絆の大切さを改めて知ることができました。

【磯部】あの共演ステージに立ち会えたことも奇跡でした。そしてあの機会をきっかけに、それまで少し引っ込み思案だったメンバーも自分たちの出来ることに積極的に動くようになって、人間的な成長も感じられました。

ー それでは最後にしめくくりの言葉をそれぞれお二人からどうぞ。

【磯部】50年間分の感謝を伝えられたら…と思います。もし過去に1度、2度だけ私たちの演奏を聴いたことがあるという皆様にも今回の演奏を聴いていただいて「あぁ、こういう音してたなぁー」と思い出していただけたりしたら嬉しいです。

【島田】愛教大混声の第1回目の演奏会は1970年でしたが、その会場は今はなき「愛知文化講堂」でした。そしてその跡地に今回の会場である愛知県芸術劇場が出来ました。50年経ってまた「同じ場所」で歌えることにも運命を感じています。
ご来場下さる皆様へも足を運んでいただける奇跡を、50周年という節目をきっかけにこれまであまり合唱に親しみのない方にも新しい出会いとなればという奇跡を感じて、後悔させない演奏、演出、最高の宝物になるような演奏会を目指します。

ー ありがとうございました

 【公演情報】
 2020年2月29日(土) 愛知県芸術劇場コンサートホール
 開場:16:30/開演:17:30 全自由席 700円(未就学児無料)
 【お問い合わせ】
 ■渉外 auechorus50thconcert@gmail.com(和田)
 ■HP http://aikyoukon.lolipop.jp/ 
 ■twitter @aue_mcc
 後援:愛知県合唱連盟 朝日新聞社 愛知県教育委員会 名古屋市教育委員会

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